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January 2016 Archives

浮世絵通信by秋華洞 13号

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こんにちは。浮世絵担当の山田です。
1年は早いですね。
年末になる前に徐々に大掃除ならぬ、小掃除?をしようと思っていたのですが、
あっという間に年末が近づいてきました。
原稿を書いたり、文書のやり取りが多いため、
どうしても紙類がたまってしまうのですが、
日々、かたづけてすっきりした気分で毎日を過ごそうと思っています。
さて、秋華洞は12月26日から新年1月5日まで冬季休業となります。
何卒よろしくお願いいたします。

今月のラインナップ
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特集: 真冬の幽霊画展
新入荷作品:広重、巴水など 
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先週金曜日からスタートした「真冬の幽霊画展」。
銀座の街がクリスマスのイルミネーションに彩られるシーズンに「幽霊」という逆の発想ですが、
おかげさまで、初日の開店時間から多くのお客様にお越しいただいています。
今回の内容は池永康晟、岡本東子、中原亜梨沙、鈴木博雄、内田すずめという5人の現代作家の幽霊画とともに、
秋華洞所蔵の幽霊の掛け軸、浮世絵も一堂に展示しています。

「真冬の幽霊画展」
会期:12月11日(金)~19日(土) 会期中無休 場所:ぎゃらりい秋華洞
時間:10:00~18:00(平日) 11:00~18:00(日・祝) 入場無料 展示販売いたします。

幽霊は初めてという池永さんの作品や、なんと、子供のころ本人が見た!幽霊を描いたという、
岡本東子さんの「暗がり」など、寒い季節にさらにゾクゾクさせる
まさに恐怖のエンターテイメントになっています。
歌舞伎の東海道四谷怪談上演の際は関係者で関連の寺社に参拝するのが習わしですが、
秋華洞でも氏神様の日枝神社に御祓いと展覧会の成功を祈願してまいりました。

さて、今回の展覧会、浮世絵も数点展示していますが、その中から一点ご紹介します。
国芳 「源頼光公館土蜘蛛妖怪図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-428/Kuniyoshi/The-Earth-Spider-Generates-Monsters-at-the-Mansion-of-Lord-Minamoto-Yorimitsu-
病で床についている源頼光と囲碁を打つ四天王(渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部季武)。
背景の暗闇には妖怪たちが東西に分かれ合戦しています。
表向きは平安時代の武将、源頼光による土蜘蛛退治を描いたものですが、実は天保改革の風刺画といわれています。
妖術に苦しめられているのは頼光と見せかけて実は、将軍・徳川家慶。
国家危急の時に惰眠をむさぼっているとの批判が込められているそうです。
主君が危機だと言うのにソッポ向く卜部季武と見せかけ、天保の改革の中心人物、老中・水野忠邦。

妖怪たちも天保の改革の被害者たちの風刺。
富くじが禁止された富くじ妖怪、
歯のないろくろ首には歯なし→噺など寄席の禁止を恨んだものだとか。

なお、卜部季武以外のの四天王は
渡辺綱(碁を打つ右の人物)は老中、真田幸貫
坂田金時(碁を打つ左の人物)は老中、堀田正睦
碓井貞光(左端の人物)は老中、土井利位と解釈されています。

この風刺画に不満がたまっていた江戸庶民は狂喜、あまりの評判に処分を恐れた版元は自主的に絵を回収し、
版木も削り落としたようですが、数種の異版があります。(今回展示は異版)

一方、大評判となったこのテーマに別の版元が別の絵師に描かせます。
国周「頼光館土蜘怪異做図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-405/Kunichika/Tsuchigumo-Appearing-in-the-House-of-Minamoto-no-Yorimitsu
貞秀 「源頼光公舘土蜘作妖怪図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-89-061/Sadahide/The-Earth-Spider

さて、この天保の改革では浮世絵自体も取り締まりの対象でした。
天保13年に出された出版統制令で、遊女の浮世絵や、歌舞伎役者の似顔、
名前、紋などを浮世絵をとして描くことが禁じられました。
浮世絵師はこの制限の中で、判じ絵など独自の工夫で浮世絵を生み出してゆくのです。
国芳の反骨精神が生んだともいえるこの傑作。
この反骨精神が国芳人気の大きな要因とも言えるでしょう。


■ 新入荷作品 ■
浮世絵の新着作品をご紹介します。
広重「名所江戸百景 鎧の渡し小網町」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-439/Hiroshige/One-Hundred-Famous-Views-of-Edo--Yoroi-Ferry--Koami-cho-
広重「冨士三十六景 鴻之臺戸根川」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-495/Hiroshige/Thirty-six-Views-of-Mt.-Fuji--Wild-Goose-Hill-and-the-Tone-River
広重「冨士三十六景 伊豆の山中」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-560/Hiroshige/Thity-six-Views-of-Mt.-Fuji--Mt.-Fuji-Seen-from-Izu
国芳「牛若丸」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-514/Kuniyoshi/Ushiwakamaru
国芳「頼朝公冨士之街狩図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-505/Kuniyoshi/Minamoto-Yoritomo-s-Hunting-Party-on-the-Plain-of-Mount-Fuji
国芳「武田上杉川中嶋大合戦図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-521/Kuniyoshi/Battle-of-Kawanakajima
国芳「五十三駅 岡崎」(近日アップ予定)
芳虎 「東京蒸気車之図」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-485/Yoshitora/The-steam-locomotive-in-Tokyo
周延 「足柄山中山姥怪童丸」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-517/Chikanobu/Mountain-Witch-and-Kaidomaru-in-Mt.-Ashigara
芳年 「月百姿 金時山の月」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-551/Yoshitoshi/One-Hundred-Aspects-of-the-Moon--Moon-of-Mt.-Kintoki
巴水「芝増上寺」(近日アップ予定)
鏑木清方 「美人【色紙】」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-173//Beauty

この他にも新着作品、多数入荷しています。サイトは毎日更新していますので、
ぜひ、チェックしてみてください!
http://jp.japanese-finearts.com/index.php


これは新着作品のごく一部です。浮世絵ぎゃらりい秋華洞では新着作品を毎日アップ!
ぜひ、ご覧ください。
http://jp.japanese-finearts.com/index.php

■この展覧会に行ってみたい!■
「伊藤若冲 生誕300年記念 ゆかいな若冲・めでたい大観 ― HAPPYな日本美術 ―」
於:山種美術館
2016年1月3日(日)~3月6日(日)
http://www.yamatane-museum.jp/exh/next.html
来年は伊藤若冲 生誕300年の節目の年、そして、展覧会ではユーモアあふれる国芳の戯画も展示されるとか。
新年から楽しい日本画でほっこりして、HAPPYな1年でいきたいですね。

■ 今月の役者絵 ■
秋華洞は歌舞伎座から一番近い浮世絵商。
役者絵の在庫の中からおすすめの役者絵をピックアップしてご紹介します。

国周 「花揃見立六歌仙 大伴黒主」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-508-02/Kunichika/Yakusha-e

六歌仙のひとり、大伴黒主(おおとものくろぬし)。
今月歌舞伎座で上演中の「重戀雪関扉」。
その中で大坂の関守、関兵衛、実は天下をねらう大悪人の公家、
大伴黒主という役で出てきます。
尾上松緑さん演じる豪快な敵役(国崩しともいいます)と
坂東玉三郎さん演じる傾城墨染実は小町桜の精の幻想的な踊りが楽しみです。
それにしても、六歌仙なのに悪役とは...。
名前に入っている「黒」のイメージでしょうか?

【編集後記】
今月、浮世絵ぎゃらりいのスマホ版を開設しました。
外出先でも気軽に浮世絵をごらんいただけるようになりました。
また、カード決済で分割の利用が可能になりました。
この他、「サイトにこんなコンテンツがあるといいな」、
「ここが使いづらいので改善してほしい」、などご要望有りましたら、ぜひお問い合わせください。
今年も一年間、ありがとうございました。皆様にとって来年がよい年でありますように。

秋華洞 浮世絵担当 山田亜紀子
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浮世絵ぎゃらりい秋華洞
http://jp.japanese-finearts.com/
株式会社秋華洞
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F
TEL 03-3569-3620 FAX 03-3569-3621
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営業時間
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秋華洞スタッフブログ
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*おんらいんぎゃらりい秋華洞(日本画のコンテンツ満載です)
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浮世絵通信by秋華洞 12号

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こんにちは。浮世絵担当の山田です。
最近ぐっと朝晩冷え込む日が増えてきましたね。
電車の中でもマスクの方が目立ちます。皆さんお体に気をつけてくださいね。
わたしは秋のおいしいものを食べて、風邪を吹き飛ばしたいと思います。
先日、食べたおいしいものは「マツタケのピザ」。
皆さんはこの秋、どんな秋の味覚を食べましたか?

今月のラインナップ
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特集:展覧会「浮世絵と肉筆で見る歌舞伎の世界」
新入荷作品:小林清親 「柳原夜雨」ほか
この展覧会に行ってみたい!:「肉筆浮世絵 美の競艶」
今月の役者絵: 国周 俳優見立給金競
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秋華洞は浮世絵も扱う画廊として毎年役者絵展を開催しています。
今回は浮世絵だけでなく肉筆、役者自身の書、若手作家の作品も集めた展覧会、
「浮世絵と肉筆で見る歌舞伎の世界」を開催中です。

秋華洞は歌舞伎座、新橋演舞場も徒歩圏内。
開催日当日にも新橋演舞場で公演中の「ワンピース」を
たった今観てきたという女性お二人が展覧会の看板をみて立ち寄ってくださいました。
漫画を題材にした歌舞伎を言うことで話題を呼んでいる「ワンピース」。
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/images/shinbashi_20151011fb.jpg?html
私も先日観て来ました!ルフィーの手が伸びたり、(どんな演出家は見てのお楽しみ!)
会場で観客からの手拍子が沸き起こるなど、新しいこと尽くめ。
実は漫画のワンピースはまったく読んだ事がなかったのですが、宙乗りあり、
本水(ほんみず。舞台上での本物の水を使った演出。)での立ち回りありの大スペクタクルで多いに楽しめました。
本水といえば、展覧会でもそうした演出の浮世絵を展示しています。

豊国Ⅲ (国貞) 「神田川の与吉」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-400/Toyokuni-III-(Kunisada)/Yakusha-e-Carp
嘉永2(1849)年6月上演の『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』の一場面です。
水中で役者が鯉の精と格闘する演出は「鯉つかみ」と呼ばれ、
本水を用いたことから夏芝居の一趣向として好まれました。
実際の舞台に登場するのは鯉のぬいぐるみですが、
本図に描かれるのはまるで生きているかのような巨大な鯉です。

また、人気演目を題材にした作品も展示しています。
須田剋太「民谷伊右衛門」
http://www.syukado.jp/list/work/002340.html
東海道四谷怪談といえばお岩さん。伊右衛門はお岩の夫で実はこちらのほうが主役なのです。
「二枚目(にまいめ)」の色男でありながら妻のお岩を死に至らせる悪人として描かれ、「色悪(いろあく)」とよばれる役柄の代表的な役として知られています。
たたずんでいるだけの姿ですが、ぞくっとするようなこわさが漂っています。

「浮世絵と肉筆で見る歌舞伎の世界」
会期:10月27日(火)~11月5日(木) 場所:ぎゃらりい秋華洞
時間: 10:00~18:00(平日) 11:00~18:00(日・祝)
入場無料・展示販売いたします。
http://syukado.jp/feature/2015/10/kabuki.html

展覧会は来週木曜日までです。ぜひお越しください。


■ 新入荷作品 ■
浮世絵の新着作品をご紹介します。
広重「名所江戸百景 鎧の渡し小網町」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-439/Hiroshige/One-Hundred-Famous-Views-of-Edo--Yoroi-Ferry--Koami-cho-
広重 「富士三十六景 東都両国」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-440/Hiroshige/Thirty-six-Famous-Views-of-Mt.Fuji--Ryogoku
広重「名所江戸百景 名所江戸百景 日本橋雪晴」
広重「名所雪月花 多満川秋の月あゆ猟の図」
国芳「鷲ノ尾三郎一の谷鵯越の案内者となる図」
小林清親 「柳原夜雨」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-454/Kobayashi-Kiyochika/Night-Rain-at-Yanagihara
小林清親「大川岸一之橋遠景」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-430/Kobayashi-Kiyochika/Distant-View-of-the-Bridge-Ichinohashi--from-the-Embankment-of-Sumida-River
川瀬巴水「大宮氷川公園」
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-445/Kawase-Hasui/Hikawa-Park-in-Omiya
ほか、

これは新着作品のごく一部です。浮世絵ぎゃらりい秋華洞では新着作品を毎日アップ!
ぜひ、ご覧ください。
http://jp.japanese-finearts.com/index.php

■この展覧会に行ってみたい!■
シカゴ ウェストンコレクション
「肉筆浮世絵 美の競艶」
浮世絵師が描いた江戸美人100選
上野の森美術館
2015年11月20日(金)~2016年1月17日(日)
http://weston.exhn.jp/index.html
これだけの数の肉筆浮世絵が集まる機会はなかなかないと思います。
展覧会HPでも美女が勢揃い。今から楽しみです!

■ 今月の役者絵 ■
秋華洞は歌舞伎座から一番近い浮世絵商。
役者絵の在庫の中からおすすめの役者絵をピックアップしてご紹介します。

国周 俳優見立給金競
http://jp.japanese-finearts.com/item/list2/A1-90-254/Kunichika/Yakusha-e
歌舞伎役者のランキングを示したもので、役者のランクを給金(架空の値段)で示しています。
日本人は昔からランキングが好きなんですね。
勧進元として中央に描かれているのは九代目市川団十郎。
八犬伝の犬山道節に扮しています。
市川宗家といえば、11月1日から始まる「吉例顔見世大歌舞伎」は十一世市川團十郎五十年祭、
十一世の孫の海老蔵さんが十一世の当たり役「若き日の信長」に挑むほか、
海老蔵さんの息子、堀越勸玄さんが初お目見えするそうです。(2歳8ヶ月だとか!)

【編集後記】
秋華洞 浮世絵担当 山田亜紀子
2015年もあと2ヶ月。早いですね。今年は錦絵誕生250年の他に、新版画誕生100年など浮世絵にとって節目の年でした。来月発行予定のカタログではその新版画の特集をする予定です。こちらもお楽しみに。

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浮世絵ぎゃらりい秋華洞
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